あなたは老後までに資産運用を行わずに必要な資金を貯められる自信はありますか?
数十年後、年金額も減り確実に年金だけでは暮らせなくなります。
実際に、現在でも年金の支給額は以下のようになっています。
かなり切り詰めて暮らせるかどうかの金額です。
- 国民年金の平均受給月額:55,464円
- 厚生年金の平均受給月額:147,927円(公務員を除く)
さらに65歳の平均余命は次の通りです。
- 男性84.5歳(19.5年)
- 女性89.38 歳(24.38年)
参考 平成28年簡易生命表
男女ともに65歳以上の生活が20年続くことになります。
20年となると、「自分の老後は年金だけで大丈夫なのだろうか」と不安になってしまいますよね。
この記事では、老後の生活に不安を感じる全ての人に向けて、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)について、その内容や加入条件、掛け金について解説していきます。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)はどんなサービスなの?
iDeCoは、私的年金に分類される年金で、公的年金の増額を目的にしています。
簡単にいうと、iDeCoは公的年金の上乗せサービスです。
支払った掛け金とその運用実績が、老齢年金の受給額に上乗せできます。
したがって、厚生年金を受け取れない専業主婦や自営業者であっても、iDeCoに加入することで、年金受給額を増額させることが可能になるのです。
また、会社員や公務員も、所定の要件を満たせば加入し、厚生年金のさらに上乗せとすることもできます。
ちなみにiDeCoという名称は、個人型確定拠出年金「Individual-type Defined Contribution pension plan」の頭文字を繋げたものに由来しますが、確定拠出を意味するDefined Contributionの頭文字をとって、個人型DCと表現されることもあります。
確定拠出年金には、iDeCoのほかに、企業が加入する企業型確定拠出年金があり、iDeCoと併用できる場合とそうでない場合があります。
iDeCo(イデコ)は誰が実施している?
iDeCoの実施主体は、国民年基金連合会という公的な団体です。
実際の運営管理や事務手続きは、複数の地方銀行や証券会社、生命保険会社などに委託されています。
運営管理期間には、手数料や運用商品(投資先のこと)、受給の方法に違いがあります。
iDeCoの加入条件は?
iDeCoは公的年金を補完する年金サービスで、加入条件は、公的年金の加入状況で変わります。
まず、公的年金の加入状況は、下記の第1号から第3号の3つに分類されます。
- 第1号被保険者:自営業者など第2号、第3号でない人
- 第2号被保険者:厚生年金被保険者(会社員、公務員、法人の代表や役員など)
- 第3号被保険者:第2号の配偶者
第1号、第3号は、老齢年金の基礎部分である国民年金に加入している人、第2号は、基礎部分にさらに厚生年金の上乗せがある被保険者です。
第2号で、その勤め先が企業型確定拠出年金に加入している場合は、規約で個人型確定拠出年金との併用を認めていなければiDeCoに加入できません。
iDeCoの掛金はいくらから?
iDeCoの掛け金は、5,000円から可能です。
さらに、掛け金は1,000円単位で上乗せすることができるため、様々なライフスタイルに合わせて掛け金を設定できます。
なお、掛け金の上限額は、公的年金の加入状況で異なります。
第1号の上限は、国民年金基金の加入額と合わせて月額68,000円まで、第3号の上限は月額23,000円です。
第2号の場合、勤め先の確定拠出年金の加入状況等で、限度額は月額12,000円から月額23,000円まで変動します。
iDeCo始めるにはどうしたらいいの?
iDeCoを始めるには、運営管理機関である銀行や証券会社、保険会社等などの金融機関から申込みを行います。
ほとんどが、インターネットで資料申込みや加入案内を受け取ることもできるため、手軽に始めることができます。
ただし第2号の場合は申込む前に、まずは勤め先の担当者にiDeCoに加入してよいか確認をしましょう。
ちなみに、簡易的な加入診断であれば、国民年金基金連合会のiDeCoカンタン加入診断から行えます。
iDeCOの流れ
iDeCoの加入から給付までの流れは次の通りです。
加入
iDeCOに加入するには、まず運営管理機関から申込み手続きを行います。
運営管理機関とは、iDeCoの実施主体である国民年基金連合会から、実際の運営管理や事務手続きを委託された、地方銀行や証券会社、生命保険会社などのことです。
インターネットから申込みができる運営管理機関がほとんどになります。
なお、iDeCoでは、掛け金の投資する運用商品を、被保険者自身が決めなければなりません。
運用商品は、運用管理機関ごとに異なります。
したがって、どの機関からiDeCoを申し込もうか迷った時は、運用商品の数や内容を見ることがポイントの一つです。
一般的に投資先は複数に分散させた方が、暴落した際の損失リスクを軽減できます。
そのため、まずはインターネットからいくつかの運用管理機関の案内にアクセスし、運用商品や手数料などを見比べた上で、加入を決めるとよいでしょう。
拠出(掛け金の支払い)
掛け金は原則月払いで、翌月26日に指定の金融機関より振替えとなります。
振替口座は、都市銀行や地方銀行、一部の信託銀行、その他ゆうちょ銀行やイオン銀行など、多くの金融機関が対象ですが、一部のネット銀行や外国の銀行は指定できません。
また、クレジットカード納付も不可です。
iDeCoの掛け金は、原則月払いで前納は不可でしたが、平成30年からは任意の月にまとめ払いもできるようになりました。
ただし追納はできないため、無理のない範囲で掛け金を設定することが大切です。
なお、掛け金の額は、年に1回変更することができます。
運用
iDeCoは被保険者自身が運用商品を決めなければなりません。
運用実績によっては、元本割れしてしまうリスクもあるため、選択は慎重にしたいところです。
とは言え、iDeCoは60歳まで脱退ができないことから、長期の運用益を見越さなければなりません。
長期投資は、短期投資とは異なり、リスクを分散させた運用を行うことが一般的です。
特にiDeCoの場合、大きな運用益は出なくとも、掛け金で得られる節税効果の方が本命と言えます。
したがって、iDeCoでの運用は、なるべくリスクの少ない方法を選択することがポイントです。
たとえば、運用商品は1つに絞らず分散させること、外貨と円など異なる値動きをする商品を組み合わせることなどがリスクを分散させる一般的な方法になります。
給付
iDeCoの受取は、60歳から可能です。
ただし加入期間が10年未満の場合、その期間に応じて最高で65歳まで受給権の発生が遅れます。
具体的には下記の表を参考にしてください。
ちなみに、受給開始前に拠出した掛け金を引き出すことは原則できません。
加入期間 | 受給開始年齡 |
10年以上 | 60歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1月以上2年未満 | 65歳 |
iDeCoの受給の方法は?
受給の方法は、次の3つに分かれます。
一時金として受け取る
受給権が発生した後に、一時金として受け取る方法です。
70歳までに受け取る必要があります。
一時金として受け取ることは、生前に全ての受給権を行使できること、さらに受給時の税制が優遇されている点にメリットがあります。
有期年金として受け取る
受給権の発生後、5年以上20年以下の期間で受け取る方法です。
ただし、具体的な支給方法は運営管理期間(証券会社や保険会社など)に委ねられています。
一時金と年金を組み合わせて受け取る
運営管理機関によりますが、生涯の年金に上乗せして受け取る支給方法を選択できる場合もあります。
有期年金として受け取るより毎年の受給額は下がりますが、生涯の安心を受けられる点は魅力的です。
もし死亡時に残額があれば、遺族が受け取ることができます。
受給開始前に受け取れる例外
iDeCoは、受給開始前に掛け金を引き出すことはできません。
ただし、加入者が一定の障害に該当する状態になってしまった場合や死亡した場合などは、受給開始年齡に到達していなくても支給されます。
障害給付金
加入者が一定以上の障害状態になってしまった場合、その原因となった傷病から1年6ヵ月を経過した後の請求により受給することができます。
年金で受け取れる場合のほか、一時金で受け取れる場合もあります。
死亡一時金
加入者が死亡してしまった場合、受給できるはずだった金額を遺族が一時金として受け取ることができます。
もし年金受給中に死亡した場合は、その残額の受給が可能です。
ただし、相続税のみなし相続財産に該当し、非課税額を超える部分が課税対象となるため、注意しましょう。