示談交渉は、被害者と加害者が話し合いによって賠償責任の有無、その金額や支払い方法について決めることを言います。
交通事故のうちの9割以上は示談によって解決されています。
被害者は、代理人として弁護士を立てることで示談交渉を少しでも有利に進めることができます。
示談交渉は自分で行うべきか?弁護士に依頼するべきか?
ただ、被害者と加害者が直接話し合うと、加害者による強硬な態度に被害者が押されてしまうことがあるため、加害者が加入している保険会社が代行することが多いようです。
そして被害者側も、示談交渉を有利なものとするために交通事故に詳しい弁護士に依頼することをおすすめします。
といういのも、示談交渉が成立し示談書を作成後、これを公正証書にすると示談書の内容が裁判の判決と同等の効果があるものとして扱われます。
示談の内容に満足していなかったとしても、一度成立した示談はやり直しがきかないのです。
その後後遺症が出てくる恐れもあるため、示談交渉の開始には慎重にならなくてはなりません。
面倒に感じるかもしれませんが弁護士を立てて、納得のいくまで交渉を進めるべきでしょう。
弁護士費用特約に加入している場合は積極的に弁護士に相談する
このような示談の代理人を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が発生します。
費用も高額で、任意保険のオプションとして付されている弁護士特約により、積極的に弁護士に相談することができます。
弁護士費用は、300万円以下なら弁護士特約により保険会社に負担してもらえるケースが多いようです。
死亡事故などの重大な事故でなければ300万円を超えることはありますが、傷害事案で300万円を超えることはほとんどありません。
任意保険に弁護士特約のオプションを付している方は積極的に活用してみましょう。
交通事故を弁護士に依頼するメリット
交通事故の示談交渉を弁護士に依頼した方がいいのは、次のような理由があるからです。
示談交渉に関わる時間が軽減される
保険会社も弁護士も、交通事故における示談交渉のプロです。
被害者が保険会社と示談交渉を始めたとして、保険会社の提示する示談案に納得がいかなくても、法的な拘束力はなく、断ったり、保留にしたりできます。
ただ、その間に弁護士や自治体の相談窓口など関係各所に相談に行ったりするのは手間も時間もかかるものです。
そこで法律に詳しい弁護士に任せれば、示談に詳しい保険会社と弁護士の「わかる者同士」で交渉を進めることになるので、時間的にも早い解決ができるのです。
保険会社との交渉がスムーズ
法律に詳しくない被害者と保険会社が示談交渉を行うのは、圧倒的に保険会社が有利であり、交渉を上手く進められないケースが出てきます。
また、「その件についてはよくわからないから待ってほしい」などと交渉を保留にして、調べてからまた交渉を再開するとなると、解決までとても長引いてしまいます。
しかし、弁護士を任せれば、スムーズなやり取りができるので、安心して任せられます。
弁護士に示談交渉を依頼すると補償金がアップする
損害額を算出する目安として、次の3つの基準があります。
それぞれの立場や目的によって違いがあるために、同じ事故でもその損害金額は大きく異なります。
- 自賠責保険基準
- 保険会社基準
- 裁判所基準
自賠責保険が定める損害額で、支払額は裁判所基準と比較すると非常に低い。
任意保険会社が支払いをするにあたって、その支払額を算出する際に用いられます。
被害者は、示談金として保険会社からこの基準をもとに算出した金額を提示されます。
自賠責保険基準よりは高いものの、裁判所基準よりは相当低い水準です。
営利目的で事業を行っているため、支払額は少ない方がいいのは言うまでもなく、低めの水準を設定しているのです。
これまでの裁判で認められてきた数々の事例をもとに損害額を基準化したものです。
保険会社基準よりもかなりの高額で、事案によって異なるものの、事故によっては数十万~200万円以上も増額されることもあります。
弁護士に依頼することで損害額が上がるのは、最も高水準な裁判所基準をもとに金額を算出するからです。
保険会社が提示する金額に納得がいかなければ、示談を一度保留にして弁護士に相談することをおすすめします。
ストレスが軽減される
示談交渉は、交渉の経緯を記録し、平常心を保ちながら進めていかなければなりません。
また、難しい交渉がうまくまとまるかどうか不安を抱えることもあります。
こうした示談交渉を弁護士に一任すれば、交渉を続けていることによる精神的な負担もなくなります。
そして、役所に足を運んで慣れない書類集めや申請書類の作成など、面倒な手続きも任せられるので、被害者はけがの治療に専念できます。
示談交渉は、やり直しがきかないからこそ弁護士に依頼するべきです。
弁護士に依頼することで保険会社が提示する賠償金額よりも大幅に増額されるなどのメリットも大きいので、任意保険に弁護士特約を付けている場合は積極的に活用しましょう。