交通事故で被害者が死亡した場合の慰謝料

交通事故の被害者が不幸にも死亡したとき、遺族の悲しみは計り知れないものです。

交通事故で被害者が亡くなったときの慰謝料

その際、保険会社から支払われる慰謝料は死亡した被害者と残された遺族が受けた精神的な苦痛を金銭で算出します。
その慰謝料は、現在では定額化されていて基準をもとに個々の事情を考慮した上で正確な金額を算出するのです。

ここでは、交通事故の被害者が死亡した場合の慰謝料について説明します。

被害者が死亡した場合の慰謝料はいくらになるか

死亡した被害者の慰謝料は、被害者の年齢、家族構成、社会的地位、収入、家族への経済的な影響や死亡に至るまでの苦痛の程度を考慮して慰謝料の金額が決まります。

日弁連が作成した「交通事故損害額算定基準」では、次の3つにわけて目安となる慰謝料の金額が掲載されています。

  1. 一家の支柱
  2. 一家の支柱に準ずる者
  3. それ以外

死亡した被害者別の慰謝料

死亡した被害者が社会的・家庭的にどのような立場にあったかによって金額が異なります。
ここでは被害者の立場ごとに慰謝料について説明します。

一家の支柱の場合

一家の支柱とは、被害者が世帯収入を主として家計を支えていることをいいます。
すなわち、被害者の収入で生活していた場合には「一家の支柱」が死亡したとみなされます。

一家の支柱が死亡した場合、経済的な影響力が最も大きいため、慰謝料は2,700~3,100万円程度が認められています。
これに被害者の年齢、家族構成などを考慮して金額が決定されます。

母親・配偶者の場合

母親または、一家の支柱の配偶者は、「一家の支柱に準ずる者」として2,400~2,700万円の慰謝料が支払われます。

「一家の支柱に準ずる者」とは、その範囲は広く定義されており、家事をする主婦、養育を必要とする子を持つ母親、高齢な父母や幼い弟妹を扶養している独身者もこれに含まれます。

独身者の場合

独身者は上記の「③その他」に該当し、慰謝料は2,000~2,500万円の範囲で決められます。

一家の支柱や一家の支柱に準ずる者より、遺族への経済的な影響が少ないことから、やや低く設定されています。

子どもの場合

子どもの場合も、上記の「③その他」に含まれるため、慰謝料は2,000~2,500万円となっています。

ですが、わが子を突然失った親の心理的な負担は相当に大きく、そうした精神的な苦痛を考慮して相場以上の慰謝料が支払われるケースも少なくありません。

高齢者の場合

高齢者も独身者、子どもと同様に「③その他」に該当するため、慰謝料は2,000~2,500万円となります。

実務では、「高齢者」と一括りせず、家庭内の役割を考慮した上で一家の支柱、または一家の支柱に準ずる者と判断するケースもあるようです。

このように、死亡した被害者の属性は限定せずに家庭内においてどのような立場にあったかを考慮した上で慰謝料を決めるケースが多いようです。

加害者の態度や事故の悪質性によって慰謝料の金額が変わるケースもある

慰謝料を決める際には被害者の年齢や立場などが考慮して決められますが、それ以外にも加害者の被害者に対する誠意の有無や事故の悪質性から慰謝料の増額が相当と認められる裁判例もあります。

例えば、制限速度超過で運転していた車が交差点に進入した事故で、被害者の過失割合が0にもかかわらず、加害者が被害者に対して45%の過失相殺を主張した事案では、両親に各300万円、兄弟に100万円の固有の慰謝料が認められました。

また、飲酒運転による事故は、ここ数年で社会的にとても厳しい目線が注がれるようになりました。
それに伴い法律もより厳しく改正されていますし、慰謝料の金額にも大きく影響を与えています。

実際に、大量の飲酒後の運転により5歳の子どもを死亡させた事案では2,800万円の慰謝料が認められました。

加害者の態度や事故の悪質性によって増額できる金額は変わりますので、くわしく知りたい方は交通事故に強みを持つ弁護士にご相談ください。

被害者が死亡した場合に誰が慰謝料を請求すればいいか

事故の被害者が生存していれば慰謝料の請求権は当然に被害者本人にありますが、被害者が死亡した場合は、慰謝料請求権を遺族が相続します。
そのため、残された遺族が本人に代わって慰謝料を請求します。
被害者の父母、配偶者、子のいずれかが加害者に慰謝料請求をすることになります。

遺族も慰謝料を請求できる

民法711条では「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害を賠償しなければならない」と定められています。
これは被害者本人の慰謝料とは別に、遺族にも固有の慰謝料請求が認めているのです。

交通事故で突然家族を失った悲しみはとても深いものです。
遺族は精神的だけでなく、経済的にも大変な苦痛を受けるのですから、遺族は当然に固有の慰謝料請求をするべきです。

慰謝料の分配方法

先述したように、遺族は慰謝料請求権を相続するので、実際に相続する配分も通常の相続と同じ配分で行われます。

例えば、夫、妻、子ども2人の家族の場合、夫が死亡し、死亡慰謝料として2,800万円が支払われた場合、夫の遺産は妻が2分の1を相続するので1,400万円、子どもは4分の1ずつ相続するので700万円ずつという計算になります。

死亡事故はまず弁護士に相談する

ここまでご紹介した慰謝料の金額は日弁連の「交通事故損害額算定基準(いわゆる「裁判所基準」)」をもとにしています。
このほかにも自賠責保険基準と任意保険基準という支払基準もあります。

自賠責保険死亡した被害者に350万円、任意保険の基準は非公開ですが、裁判所基準よりは低く設定されており、任意保険会社が提示した金額で示談を終えてしまうのは得策ではありません。

できるだけ高額な慰謝料を得るためには、裁判所基準で保険会社に交渉できる弁護士に相談することをおすすめします。

もし弁護士を通さずに交渉するとなると、遺族は突然家族を失った悲しみに暮れる中で保険会社と示談交渉を進めることになります。
これは心理的な負担が大きく、真っ当な交渉が難しくなります。

そのようなときにも冷静に保険会社と向き合える弁護士に依頼すれば、心理的な負担を軽減できます。
自分で保険会社と交渉するよりはるかにメリットは大きいのです。

まずは交通事故に強みを持つ弁護士に相談してみましょう。