交通事故の被害者の方は、加害者が加入する保険会社との示談交渉を行います。
難しい交渉事は交通事故の解決に強みを持つ弁護士に示談交渉を代行してもらうべきです。
ですが、弁護士費用や相場がわからないために、依頼だけでなく相談もできないという方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、弁護士費用の相場と、弁護士費用をできるだけ抑える方法について詳しくご紹介します。
交通事故の弁護士費用はどの弁護士事務所でも同じ?
弁護士費用は、日本弁護士連合会が定めた「弁護士報酬等基準額」という統一の報酬基準がありました。
しかし、平成16年3月末をもって廃止されてからは、個々の弁護士が自由に報酬を定めています。
そのため、弁護士事務所によって費用はまちまちです。
報酬体系が弁護士事務所によって異なるので、依頼する弁護士を決めるにあたってはインターネットのホームページを参照するなどして報酬体系を確認し、だいたいの費用を把握することができます。
次に、弁護士費用の内訳と概要について説明します。
交通事故を弁護士に相談・依頼するとどのくらいの費用がかかるのか
弁護士費用は、次のように内訳が細かく分けられています。
弁護士費用の内訳・種類
- 相談料(法律相談料)
- 着手金
- 成功報酬(報酬金)
- 日当
- 実費
弁護士への相談料は「30分5,000円」と耳にしたことがあるかもしれません。
日本弁護士会連合会のアンケート調査によると「1時間10,000万円(消費税別)」と設定している弁護士が59%、1時間5,000円の弁護士は35%となっています。
最近では、「相談無料」とする弁護士事務所も増えてきました。
また、市区町村などの自治体が運営する交通事故相談所、交通事故紛争処理センターなどでは、無料で法律相談を受け付けています。
着手金は、正式に依頼する弁護士に支払うお金のことです。
依頼した結果が満足のいくものでなくても返還されません。
20万円~30万円前後
弁護士が扱った事件の成功の度合い(経済的利益)に応じて事件解決後に支払う費用のことです。
賠償金増加分の10%前後
日当は、弁護士が遠方に出張するときなどに発生する費用のことです。
解決までにかかった期間によって金額は変わります。
郵便切手代、収入印紙代、交通費、宿泊料など、手続きに際して支出した費用のことで、弁護活動に対して報酬を支払う弁護士費用とは性質が異なります。
日当と同様、どのような手続きが必要かを弁護士に確認した上で実費の目安を立てると良いでしょう。
弁護士費用が自由に決められると言ってもあまりにも相場より金額が高い場合には、別の弁護士事務所を探すようにしましょう。
また、あくまで参考の金額であり、弁護士費用は各弁護士によって異なりますので、正式に依頼する前に確認しておくことをおすすめします。
裁判が長引くと弁護士費用はどうなる?
示談交渉が成立せず、訴訟を起こす場合、加害者の態度や事故の内容にもよりますが解決までおよそ1年かかります。
長引いた分、日当や実費の負担が増えることはあっても、成功報酬率を固定していれば追加で弁護士費用を支払う必要はありません。
詳しくは依頼する弁護士に問い合わせてみることをおすすめします。
弁護士費用の目安・計算方法
例えば、保険会社から提示された示談金が500万円でこれを不服として訴訟を起こし1,000万円の損害賠償請求を行ったとします。
これに勝訴した場合、弁護士報酬はあらかじめ弁護士が決めた成功報酬率をかけて報酬金を算出します。
成功報酬率が勝訴した金額の10%なら100万円、20%なら200万円です。
弁護士費用を抑える方法
このように、弁護士費用は数十万~数百万単位で発生しますが、一般の方にとっては決して安い金額ではありません。
そこで、少しでも弁護士費用を抑えるには以下の方法が挙げられます。
弁護士費用を加害者に請求する
たとえ被害者が勝訴したとしても、加害者に対して弁護士費用までは請求できません。
しかし、最近では、交通事故などに基づく損害賠償請求案件において弁護士費用の請求も認められつつあります。
ただ、現実にかかった弁護士費用全額を請求できるわけではなく、裁判所が事故の態様、賠償金額などを考慮して決められます。
遠方の弁護士事務所への依頼は控える
遠方に事務所を置く弁護士は交通費が発生するため、あまりおすすめできません。
近くの弁護士なら交通費を最小限に抑えられます。
できるだけ近いところで、尚且つ交通事故に強みを持つ弁護士を探しましょう。
弁護士費用特約を利用
被害者が加入している任意保険で、弁護士費用特約が付帯されている場合、300万円を上限に弁護士費用を保険会社に負担してもらうことができます。
一般的に重度の後遺障害が残る事故や被害者死亡などの重大事故でなければ、弁護士費用が300万円を超えるケースはほとんどありません。
そのため、弁護士費用特約の上限内で費用をおさめられることが多いので、被害者が弁護士費用を負担することなく弁護士に依頼できます。
弁護士費用特約は、年間の負担額が数千円程度なので、積極的な利用をおすすめします。
相談無料の弁護士に依頼する
依頼するかどうかわからない弁護士にお金を払うのは抵抗があるという場合、相談料無料の弁護士に依頼する方法もあります。
気軽に相談だけでもしてみたい方や、初期費用をできるだけ抑えたい方は相談無料の弁護士を探してみると良いでしょう。
分割払い・後払い対応の弁護士事務所に依頼する
弁護士事務所によっては、弁護士費用を分割払いまたは後払い対応しているところもあります。
どうしても金銭的に弁護士への依頼が難しい場合は、弁護士に相談してみましょう。
完全成功報酬の弁護士事務所に依頼する
完全成功報酬型は、報酬率が固定されているので、損害賠償請求金額の一部を弁護士費用に充てることができます。
相談料・着手金無料で依頼し、解決後加害者から受け取った損害賠償金から支払いができるので被害者は実質負担ゼロで弁護士に依頼できます。